2019.2.24

木版画ワークショップを開催しました。

 

 

 

 

 

 
木版画家・沙羅さんによるワークショップを開催しました。
すでに出来上がっている様々な版に水彩絵の具をのせて刷ってゆきます。小学校の頃、白黒の木版画を経験したことがあるひとは多いかもしれませんが、これだけカラフルな木版画を経験できるのは珍しいかもしれません。
使う色にもちょっとした工夫があって、例えば、沙羅さんがあらかじめ用意してくれるパレットには、さりげなく茶色がありません。そのため木を塗る色を何色にしよう?感性の凝り固まってしまった大人からするとすぐに茶色を探して、塗ってしまいがちですが、そこにちょっとした条件を加えることで参加者は沙羅さんの色の世界へと導かれてゆきます。
沙羅さんのワークショップでは「センスが良くなった気がする!」「なんだか自分が思っていた以上に素敵な作品になった!」そんな感想が出るのは実は沙羅さんのそういったひと手間があるからです。ちょっとしたきっかけですが、そうやって知らず知らずのうちに色の世界に没頭してゆく...そして最後は沙羅さんも当の本人も想像できなかったような心動かされる作品ができあがります。それはちょっとしたマジックを見ているような、不思議な体験です。今日も、版から紙をはずして初めて見たときに「わぁー!」という小さな歓声が度々聞こえてきました。
午前クラスは定員制で、午後クラスは自由参加のフリークラスだったので息子と妻も木版画を体験しました。息子はベースとなる木の色を好きな色の黄色で塗っていました。ニヤニヤしながら。僕が幼かった頃に黄レンジャーのヘルメットをかぶってポーズを決めている写真があります。好きな色というのは遺伝するのでしょうか。大人が伸ばしてあげられる子どもの感性なんてきっと限られたことしかできませんが、こういう機会を設けることで少しでも息子の中の何かがワクワクしたらいいなと思います。
 
今回ワークショップをしてくださった沙羅さんのinstagramはこちら
 
 

2019.1.24

「マグとわたし閉幕

 

 
昨年11月からはじまった巡回展「マグとわたし」が先日、閉幕しました。
秋田の学校橋雑貨店さんからはじまり、長野の当店を経由し、最後は東京のブックギャラリーポポタムさんへ。14名の作家さんの合計500点近い作品が巡回し、それぞれの会場でそれぞれの「マグとわたし」の景色が描かれました。
お越しくださいました皆様、ありがとうございました。
 

 
僕らにとっては昨年の7月にオープンしてからはじめての企画展の開催でした。
夏、当店で行なったフライヤー撮影は、大野写真研究室の大野さんご夫妻とこの企画の主宰であるA&C静岡手創り市の名倉さんとで進めました。僕自身こういう場に立ち会うのもはじめての経験だったので、大野さんのカメラの液晶を後ろからのぞいたり、名倉さんのまわりで撮影に使う小物を出したり、引っ込めたり、マグを持って“手タレ”をしたり...そして10月になってデザイナーのhaseさんからあがってきたフライヤーを見て、すごくいいなと。世の中に無数にある仕事の多くは誰かが欠けても、誰かが補って成り立つようにできているけれど、このフライヤーは誰1人欠けてもできなかったものなんじゃないかと、大袈裟でもなんでもなく、素直にそう思いました。
フライヤーは伊那谷の知り合いのお店さん約20店に置かせていただきました。僕個人でもクラフトや手仕事に興味のありそうなひとに1人ずつ手配りして回りましたが、1人の人間ができることって思っている以上に少ない。なかなか配りきれない。だからと言ってそれがやらない理由にもならない。焦らない。思いを持って伝えたものはそれを受け取った人がまた次の人へ自然と伝えてくれる。そういうもの、人間ってそういうもの。ご協力くださいました皆様、ありがとうございました。
 
 

 
会期中はアトリエショップ内に「喫茶Smith」をオープンしました。喫茶Smithでは作家さんのマグを使ってコーヒーが飲めるという“試着”ができました。みなさん、思い思いにマグを選ばれてその使い心地を実感されているようでした。
 
今回の喫茶Smithで印象に残ったシーンで、珈琲を飲むとき、隣り合わせに座った地元の人と遠方からお越しの人が会話をしていることがありました。喫茶Smithの座席は3人がけの長椅子だったり、4人がけの昔に教会で使われていたベンチだったり、バラバラの種類の椅子を一列に並べたりしていたので、空いているところに座ると自然と知らない人同士が隣になります。初対面の人と隣同士になると言っても作家さんのマグで珈琲を飲んでいるという連帯感というか、話のとっかかりがあるので、初めましてでも「その作家さんのマグすてきですよね」や「このマグとそのマグで悩んでます」といった会話がしやすく、そこから、どちらからお越しなんですか?とか、このあたりで美味しいご飯どころありますか?といった会話に発展してゆく。旅をしたことがある人ならわかると思うけれど、なかなか旅先で地元の人と話をすることってない。店員でもなんでもないただの地元のひとと話す経験。珈琲を飲み終わった後、店内のマグを眺めてまわる。まわってたらまたさっきの人と出会って立ち話。最後は一緒にレジに並んでいたりする。きっと遠方から来た人はそういう体験を通して、この土地のことをぐっと身近に感じるんじゃないだろうか。
長野から家に帰ってきて、購入したマグで珈琲を入れてほっと一息をつくときに、初めて会った遠くの街のひとのことを思い出す。名前も連絡先も知らないけれど、なにか親しみとセットになって遠くの出来事が記憶されている。そしてもしかしたら誰かに話してみたくなるのかもしれない、「駒ヶ根っていいところだよ」と。
今回喫茶Smithだけでなく、靴磨きのワークショップだったり、ハーブティをつくるワークショップにも地元のひとと県外のひと(県内だけど遠方のひと)が同席することがあって上のシーンを度々目撃しました。なんてことないことだけれど、こういう些細なことが、田舎で店を持つひとつの意義のような気がします。
(僕が朴訥と話しているせいか、お客さんがお客さんに接客してるシーンもよくあった。心当たりのある皆さま、その節はありがとうございました!こんな店ですがこれからもどうぞよろしく。)
 

 

 
「マグとわたし」が終わってしばらくの間は、お客さんとの会話で「またやってくださいよ」と言われることが度々ありました。うれしいことです、僕もまたやりたい。でもきっとまたやるというのは同じとこを繰り返すのではないというのもわかっている。今回の「マグとわたし」を構成した要素を1回バラバラに解体して、整理し直してみて、そしてまた組み上げたときに1周まわってまた「マグとわたし」になるかもしれないし、全く違うなにかになるかもしれない。
 
今回のこの企画をお声がけくださったA&C静岡手創り市の名倉さん、参加くださった14名の作家さん、灯りを提供くださったrecordさん、カメラマンの大野さん、デザイナーのhaseさん、秋田会場の学校橋雑貨店さん、東京会場のブックギャラリーポポタムさん、ありがとうございました!
こうやってブログをパソコンで書いている僕の傍らには今回購入したマグがあります。山積みの資料やら革小物のサンプルやらが散乱するテーブルの上で安定感のある立ち姿を見せてくれるマグ。中身はお白湯です。やかんで沸かしたお湯を保温できる水筒に入れて、それをマグに注いで飲んでいます。これから使い込んでゆきたいと思います。マグは愛着!